介護報酬改定が給料アップに繋がる
サービスの対価として支払われる介護報酬とは
介護報酬とは、介護保険制度が適用される介護サービスを提供する業者や施設が、利用者さんにサービスを提供した際に、サービスの対価として支払われる報酬のことをいいます。介護サービスの種類ごとにサービス内容や要介護度、事業所や施設の所在地等に応じた平均的な費用を勘案して決定されており、その基準額は、介護保険法上、厚生労働大臣が審議会の意見を聴いて定めることとされています。介護保険制度は3年ごとに見直しされますが、介護報酬の改定は見直しがおこなわれる前年度から実施されることになっています。それでは、介護報酬の改定と介護職の給料にはどのような関係があるのでしょうか。
介護報酬の改定と給料の関係
2018年度の介護報酬の改定に向けて、政府は2016年に閣議決定された「ニッポン1億総活躍プラン」のなかで、介護人材の処遇改善を目指すことを提言しています。具体的には、他産業との賃金差がなくなるよう、キャリアアップの仕組みを構築し、月額平均1万円相当の改善をおこなうこととしています。利用者さんが負担するサービスの利用額は、原則として介護報酬の1割分ですので、介護報酬がアップしたからといって利用料が大幅に増加するわけではありません。利用者さんの負担を無理に増やすことなく、介護職員の待遇を改善していくことが、介護報酬の改定の大きなねらいのひとつといえます。
介護職のやりがいアップへ
「ニッポン1億総活躍プラン」のなかでは、月額1万円相当の改善をおこなうこと以外にも、介護職の処遇改善に関する措置を検討しています。具体的には介護職のキャリアパスにおいて、「キャリアパス要件Ⅲ」を新設することとしています。この「キャリアパス要件Ⅲ」とは、簡単にいえば継続年数や経験によって給料に差をつける仕組みのことです。
これまでの介護報酬の仕組みだと、継続年数や経験、資格、その他の能力が異なっても、提供するサービスの内容が同じであれば、給料に差は生じませんでした。これでは、いくら経験を積んでも昇給することがなく、介護職のモチベーションの低下や、サービスの質の低下につながる心配がありました。しかし介護報酬の改定によって、経験年数や資格、能力が評価されるようになるのですから、介護報酬の改定は介護職のやりがいや離職率の低下に大きく関係しているといえるのです。介護報酬の改定は介護職の給料アップだけでなく、仕事のやりがい、働く環境にまで関係するということを覚えておきましょう。