採用難になる要因「給料の低さ」
給与などの待遇の問題
介護職は、体力面・精神面ともに負担が大きい割に給料が低いといわれています。月収が20万円をきることもあります。産業全体から考えても、介護職の年収は100万円以上も低くなっています。労働力にみあった賃金を得られていないという課題について、厚生労働省も把握していますが、解決策が十分ではありません。
厚生労働省は、介護職の給料があがるよう改善の努力を続けています。2017年の介護報酬改定では、介護報酬を1.14%引きあげました。しかし、2015年に2.27%も介護報酬を引きさげられていることを忘れてはいけません。2017年に、介護報酬が引きあげられたといっても、2015年以前の介護報酬レベルには到達していません。2017年の介護報酬引きあげによって、40~64歳までの介護保険料が月40円程度あがりました。しかし、65歳以上は、介護報酬が据え置きされています。この影響で、介護事業所が倒産する事態も招いています。介護事業所がなくなってしまうと、介護サービスを受けたいときに受けられないという状況になります。介護職員だけでなく、介護事業所も支援する必要があるのです。
介護職員の給料が低いという問題の原因は、特定の介護サービスに対しての単価が安いことにあります。介護職員の給料の低さを表す例として、介護業界で使用される「寿退社」という言葉があります。一般的には、女性が結婚を理由に退社することですが、介護業界では、男性が結婚するにあたり、介護職の給料だけでは生活が困難なことからしかたなく退社するという意味なのです。
介護職員の待遇改善とは
介護職の給料が低いという問題について、ついに待遇改善が期待できる動きがありました。介護業界に参入しているベネッセ系列が、介護職員の給料を最大15%もアップさせる取り組みをはじめるのです。介護職は人手不足が深刻化しており、人材の確保が課題となっています。ベネッセ系列の介護事業所が、安定した人材を採用するために給与を引きあげる方針を打ちだしました。この方針とは、3年以上働けば賞与も増えるというものです。国は月給1万円引きあげることを目標にしていますが、ベネッセ系列はそれをさらにこえた増額を打ちだしたのです。この待遇改善策は、人材不足である介護業界全体の解決策にもなります。ベネッセ系列の事業所の動きによって、他の介護事業所も優秀な人材を確保するために、同等もしくはそれ以上の給料を提示しなければならず、価格戦争がおきます。その結果として、介護職員の待遇改善につながっていくのです。