なぜ人材不足に悩んでいるのか
介護業界が抱える課題
介護職員の人材不足には、どのような理由があるのでしょうか。介護報酬の見直しによって、介護業界が抱える課題を解決しようと政府も動き出しています。 ここでは、介護業界が人材不足と感じている本当の理由について、介護業界の現場の声を紹介します。
人材不足に悩む理由
介護の現場でおこっている人材不足に関して、公益財団法人「介護労働安定センター」が実地調査をおこないました。
2017年8月に作成された調査結果によると、従業員が過不足であると感じる事業所は6割を超え、2009年から慢性的な人手不足がおこっていると分かりました。これは政権交代があり、アベノミクスの影響による部分も多少あります。また主な人材不足を感じる理由には、採用が難しいと感じる点や、介護施設の規模を大きくしたいが人材確保の面で厳しいことなど、理由はさまざまでした。さらに離職率が高いことも課題となっていて、応募が少ないことも背景にあるようです。そのような背景から、介護業界は介護職において少々のブランクがあっても正社員になれるメリットも多いため、チャレンジしやすい業界です。
しかし、メリットがあっても人材不足という状況は変わりません。さらに有効求人倍率もあがってきたため、あえて介護職を選択しない人もいるかもしれません。また介護職を選択しない理由については、給料が低いことや、身体的・精神的に仕事がきついイメージが邪魔をしていることが影響しています。
介護業界は、さまざまな改革がおこなわれていますが、休みがとりにくいなどの労働環境の問題も人材不足の一因となっているようです。
介護労働者数が追いつかない現状
介護保険制度は2000年に施行され、55万人の介護職員数は2012年に153万人に増加している状況です。介護職員数が増加していても、介護現場が人材不足である理由は、介護が必要な利用者さんが増加しているという状況があります。利用者さんの増加によって、介護職員の人材が追いつかない現状があるのです。このような問題がおきる原因のひとつに、介護スタイルの変化があります。従来は、それぞれの家庭で高齢者介護をおこなっていましたが、女性の社会進出により、介護施設の高齢者入所形態が主流になってきました。
介護職員の人材不足には、共働き家庭の増加なども理由にあります。人材不足を解消し、介護職員を充実させるためには、政府の介入で介護報酬などを見直すことが重要です。介護を必要とする人を最も尊重できる社会にするために、十分な職員数のなかで介護サービスを受けられる環境を整備することも重要なことなのです。